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日常の色々な事

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【ネタバレあり】映画 怪物 の説明と見た感想

怪物は、CMでも「怪物だ~れだ」と問いかけているように映画の特性上すんなり理解しにくいものになっています。

映画を見て気になったところとか怪物は誰だったのかを考えてみました。映画を見たひとりの考えとして見てもらえたらうれしいです。

ネタバレなし版は【ネタバレなし】映画 怪物 を見る注意と見た感想 - 日常の色々な事に書いていますので、こっちも観てもらえればと思います。

 

各視点からの物語

湊の母から見た物語

湊が学校で傷を作って帰ってたので、問いただすと担任の保利先生から叩かれたと言ってくる。

保利先生に叩かれたことについて学校で先生たちに問いただしてみると現状確認をする、申し訳ないの一点張りで何度問い合わせても要領を得ない話ばかり。

最終的には保利先生をやめさせることに成功して平和な学校生活が始まるかと思った先に嵐の日に湊が消えてしまった。

保利先生(学校)から見た物語

保利先生は生徒に近くて人気の先生として教職に励んでいました。ある日、湊が教室で暴れているところに遭遇して、落ち着かせる際に事故で顔を叩いてしまう。

顔を叩いたことに対して湊の母親が来たため、説明をしようとすると他の先生に止められしまう。その後も教職を続けていると依里が閉じ込められているトイレから湊が走り出すところを目撃する。

依里がいじめられているのではないかとの疑惑から色々と調べているうちに話が大きくなり、学校を辞めさせられてしまう。

仕事を失い、週刊誌に追い立てられ心身が消耗して手慰み程度に過去の作文を添削していると依里の作文に湊を友人であることを示す文章を見つける。

自身の勘違いに気が付いて、湊の家に謝罪に行ったところ湊の母が家から出てきて嵐の中に湊が消えてしまったことを伝えられ一緒に探すことになる。

湊(子供)から見た物語

湊と依里は仲が良い親友だったが、クラスで依里がいじめられて湊は自分がいじめられるのが嫌なのでクラス内では見て見ぬふりをしていた。

ある日、湊が依里のいじめに加担させられそうになり教室で暴れていると保利先生に止められた。その際に事故で顔に手があたったがいじめのことを言いたくなくて母親には保利先生に叩かれたと言ってしまう。

湊と依里は学校の外に秘密基地を作り、そこで新しい世界が来る日を夢見て遊んで仲を深めていった。嵐の日に新しい世界に行けるかもしれないと湊と依里が秘密基地にいると土砂崩れが起きて気を失ってしまう。嵐が去った後に土砂から抜け出すと新しい世界ではなく今までと同じ世界で生きていくしかないと開き直った。

疑問点

保利先生の態度が違いすぎた理由

物語の視点を持つ人の主観が映像に反映されているので、同じ人を見ても受け取る人の感情次第で態度が変わってしまいます。

湊の母は前任の担当のことを頼りにしていた分、保利先生のことは頼りない先生と見ていました。それが映像に反映されて、相手の目を見て話が出来ずボソボソと話す先生として描かれていました。

自分のことは良く見えるため、保利先生は自分は立派にできると思っています。それが映像に反映されて子供に人気な立派な先生として描かれています。

実際は軽度の発達障害だったのかなと思います。他の先生が保利先生を表に出さなかったり、真面目な場でジッとできなかったり、事前に用意された文章を読むのが苦手と母視点と先生視点の両視点で特徴が出ています。

ブタの脳の理由

CMでもブタの脳が強調されていますが、劇中ではあまりブタの脳の説明をしてくれません。

ブタの脳と言いだした大本の人は依里の父です。息子の依里に対して人扱いせずに矯正するように言っています。依里は終盤で湊に対して病気は治った。田舎のお姉さんが好きだと言う嘘を父親により言わされています。

そこから依里の父が異常性を見出しているのは恋愛対象が男な点で、これがブタの脳だからそんな考えをするんだと言う話かなと思います。

湊が車から飛び降りた理由

湊が車から飛び降りた理由は依里が来るかもしれないからです。湊が秘密基地につき、依里を待っている間に湊の母が来てしまい連れていかれます。

雨の夜に約束をすっぽかして依里を待たせてしまうと嫌われるかもしれないので車から飛び降りで戻ろうとしていました。

最後はどうなったのか?

嵐が去って、秘密基地から出てきて湊と依里が走り去って物語が終わります。

パッと見ると何も変わらずに湊と依里の内面が成長して現実と折り合いをつけただけに見えますが、見方を変えると他の考えもできます。

と言うのも嵐が去った後にしては風景がキレイすぎます。土砂崩れがあるような山の中のはずなのに草原のようなところを進んでいます。そこから現実の世界ではなく、死後の世界ではないかとも考えられます。その場合は2人が望んだとおり新しい世界に旅立ったことになります。

怪物とは?

全ての登場人物が怪物と言えるように大なり小なりと欠点があります。

それぞれの怪物要素は下が考えられましたけど、どれもそこまで怪物要素は薄いかと思いました。

  • 学校関係者:真実を調査せずに保利先生を犠牲にした(辞めさせた)
  • 湊の母:思い込みを盲目的に信じて学校側の責任のみ追及する
  • 保利先生:状況のみで全てを判断して直情的に行動する
  • 依里の父:世間一般とズレている依里を認めず教育する
  • 湊と依里:2人だけの世界に閉じこもる

その中でも個人的にとびっきりの怪物なのはモブのいじめっこの子供だと思います。名前のある登場人物は手段や思い込みはともかく誰かのために動いています。

  • 学校関係者:学校のため
  • 湊の母:湊のため
  • 保利先生:クラスのため
  • 依里の父:依里のため
  • 湊と依里:お互いのため

モブのいじめっ子だけは悪意を持っていじめを行っています。さらに、大人の視点でもいじめの気配はない上に名前のないので見た人の議題にも上がりにくく、トコトン隠されています。

そのように隠れた存在にも関わらず物語の根幹に関わるいじめ事件の主犯であり、この映画を語る上で無視できない存在になっているアンバランスさが気持ち悪いです。

感想

凄い考えさせられる映画でした。エンターテイメント的にはイマイチですが、道徳の授業とかで流されるにはぴったりの作品かと思います。

上でも書きましたが怪物の正体が色々考えられたり、視点を変えると登場人物の正義が悪に変わったりと見る人によって顔を変えるのがとても面白いです。

最後のシーンも見る人に委ねているのか、とても意味深なことが色々あります。ネット上の色々な考察を見るのも楽しそうですが、映画を見ながらみんなでワイワイ考察しながら見るのも楽しそうな映画かなと思いました。