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アニメ映画 アイの歌声を聴かせて の感想

アイの歌声を聴かせてを見て来たので、映画の感想です。

CMやポスターの様子から「AIと人の絆を描く映画かな」と思って見ましたが「AIが起こす騒動をきっかけに高校生の悩みを解決する」という内容でした。

イメージとは違いましたが高校生の交流とシオンの一人ミュージカルなどが楽しく見ているとあっという間に時間が過ぎていました。シオンの表情がかわいいのはもちろんのことサトミとトウマもかわいかったです。

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ストーリー

少し未来の科学技術の実験導入が盛んな町での出来事で、大企業の星間エレクトロニクスによって人型AIのシオンが密かに開発されていました。シオンの最終テストとしてサトミの在学している高校にAIであることを隠して転入させて5日間バレなければテスト成功としていました。

しかし、転校初日にサトミ・トウマ・ゴッちゃん・アヤにAIであることがバレてしまうが、開発責任者の娘でテストの内容を知っているサトミに頼まれて秘密にすることを決めました。シオンが起こす騒動をきっかけにサトミ・トウマ・ゴッちゃん・アヤ・サンダーの悩みが解消したことからシオンに友愛を感じていきます。

大企業の星間エレクトロニクスにテストが失敗していることがバレてシオンが回収されたので、サトミ・トウマ・ゴッちゃん・アヤ・サンダーのよって救出することを決意する。

というのが大体のストーリーです。

良かったところ

時代背景を映像で表現する

世界観の説明を一切せずに映像で見せているところが感心しました。例えば朝食を用意するシーンでは人が野菜を切って、火の調整はIHを経由してAIが制御したり、玄関の引き戸では鍵の部分だけ機械化しているなど外付けした機械が多く、今の技術力でも頑張れば出来そうなレベルだと一目でわかりました。

それぞれの高校生の悩みとシオンによる解決

トウマとサトミが小学生のころ、サトミのおもちゃを喋れるように改造してプレゼントしたらサトミの母親により初期化されて突き返されてしまいます。この事件をきっかけにトウマとサトミは気まずくなり、お互い気にしているのに疎遠なってしまいました。

ゴッちゃんは何でもある程度はできるが本気でやっている人に勝てない、常に80点しか出せないと器用貧乏なところを悩んでいました。その悩みを知らずに恋人のアヤが勉強とスポーツができてカッコいいと言ってしまいケンカをしてしまいます。

このように高校生の悩みは素直にお互いのことを言い合えないことが原因となっていて、シオンは素直で純粋で強引なお手伝いによりお互いのことを素直に話をすることで解決するところが晴れやかな気持ちになります。

キャラの表情がかわいい

CMで見れるようにシオンの笑顔がかわいいだけでなく、他のキャラもころころ表情が変わってかわいいです。シオンによって振り回されるドタバタ感も相まって色々な表情を見ることができて、キャラの気持ちがわかり一緒に楽しい気持ちになりました。特にサトミの彼氏が上の階にいるという嘘を信じてニッコニコの笑顔で階段を上っていく美津子の表情が好きです。

シオンのミュージカル

シオンがしばしば急にミュージカルを始めます。そのおかげでただの会話劇にならずに物語に波ができていて退屈だと感じる時間が無くなります。さらに、歌を歌いながらも動いたり機械を操作したりと画面の絵も忙しく動いているのでリズム感が雰囲気とテンポが良かったです。柔道のところだけは唯一シオンとサンダーの2人でのミュージカルになっていてアップテンポな歌に合わせて柔道をするので見ていて動きが良いです。

AI(ロボット)ものの定番を逆手に取ったストーリー展開

AIものの定番として、人とAIが仲良し・人がAIに反逆される・人がAIを駆逐するの3パターンに分かれます。この映画はシオンはサトミを幸せにするために頑張るのでAIと人が仲良くする話なのかと思いました。中盤以降は雲行きが怪しくなり、いつまでも幸せにならないサトミに対してシオンはターゲットを変更すると言ってトウマの肩を強く握って逃げられないようにしました。最初から非常識で暴走気味なシオンの行動を見ていたのでさらに暴走して人に危害を加えることで人とAIが戦いあうのかなと感じました。

実際はシオンはひたすらサトミのために動く優しいAIだったのですが、してやられた感がありました。

視点を変えると話が変わる

高校生たちはシオンを友人としてみているので回収された後に助けようと動きますが、星間エレクトロニクス側から見るとテストが失敗したので回収するのは至極当然のことになります。

しかも、シオンは既存のセキュリティが一切効かないで学校や行政の施設を自由に動かせるので回収しないと逆に世間が大変なことになってしまう可能性があるのでシオンの性格を考慮しない場合は会社側が正しいことになります。

このように視点を変えると主人公たちの行動が正反対の感想になるのがかなり楽しくゾワッとしました。

もう一歩なところ

技術的に微妙なところが多い

バスをロボットが運転したり、田植え実験をしているロボットが人型だったりと色々と突っ込みどころが多かったです。わざわざ人型のAIをつくるより田植機に組み込んだ方が速いし正確なので理にかなっていないのが気になりました。

テスト結果は帰宅後にシオン内部に保管しているログや映像を見るだけなので、それも違和感があります。学校での生活の中で何か不具合があった時のために誰かが見ているか、常時モニタリング可能な何かがあったりとするはずですがないようです。

説明不足

シオンを作るための苦労やAI規制法のことが全然説明されないので、プロジェクトの重大さがあまり実感できずにプロジェクト失敗で荒れた美津子のことがよくわからくなってしまいました。

他にもサトミは物語が始まったときには何故かいじめられて孤立をしていますが、何故なのかがわからずかなりの間モヤっとしていました。後々、喫煙を教師に通報して人気者を退学させたことが原因だと明かされますが、それまでは純粋にクラスに馴染めなかったのかと思ってしまいもっと早くに説明してくれた方がよかったです。

セキュリティ意識が低すぎる

AI開発に携わっているのに家族に極秘の資料を見られたり、IDカードを盗まれたりとセキュリティ意識が低すぎます。警備主任のパスワードに至っては娘のパスワードという数字オンリーかつ誕生日というやってはいけない系のオンパレードです。

シオンが実験結果の偽装(≒人の望みを理解して、嘘をつける)できて、学校の設備や行政のソラーパネルと風車を乗っ取って自由に操作できることを知っていても助け出そうとする美津子もセキュリティ意識がヤバすぎます。

全体の感想

映画全体の雰囲気やテンポが良くて見ていて楽しかったです。そこにシオンの全力笑顔や一人ミュージカルが挟まることでテンポが変わり良い感じのスパイスになっています。

高校生のキャラクター間のやり取りも魅力的で学校の人気者であるゴッちゃんが電子機器おたくのトウマを羨んだり悩みを打ち明けたり、サトミが過去の後悔から同じ思いをさせてはいけないと気の強いアヤを無理やり連れて行ったりと接点がなかった人から接点が生まれるところが良かったです。

現状でもそこそこ面白い作品ですが、もう少し時間をかけて丁寧にできればさらに面白かっただろうなと思いました。

シオンがサトミのことをやっぱり変わっていないなと言ったところで大体の正体が察せられましたが、シオンの正体がシオンの体に入った経緯が完全に予想外でした。これはしてやられたと思いました。

自分は細かいことが気になるので既存のセキュリティが効かない自立進化型のAIが人の手を離れて勝手に量産される可能性のある世界になっちゃいましたが、大丈夫なのかが不安で最後はもやりましたが、素直に見れば綺麗な最期だったのかなと思います。