すずめの戸締りを見てきました。
今作はネコを追いかけたり、扉を締めるアクションシーンに力が入っており、クスッと笑わせてくれる日常コメディと視点がグリグリ動くアクションシーンのコントラストでテンポ良く話が進んでいったので始まりから終わりまでずっと楽しかったです
「君の名は」や「天気の子」と比べて暗くなるシーンや話のシーンが少ないので、前の2つがイマイチだという人も見ていて楽しめる作品だと思います。
封切直後なのでネタバレなしで感想を書いていきます。
個人的には今年のトップ3ぐらいになる面白い作品だと思ったので、迷っている人の助けになればうれしいです。
目次
良かったところ
鈴芽と関わる人とのやり取りが楽しい
鈴芽は九州の女子高生と東京の大学生の草太が猫のダイジンを追って日本各地を転々とします。ちゃんと準備して旅立ったわけではないので、行く先々で色々な人の世話になりながらダイジンを追っています。
草太をはじめ、お世話になる人の中には普段は接点がないような人もいて、今までやったことが無い子供の世話などを四苦八苦しながら頑張る鈴芽の姿がコメディで描かれていて微笑ましい気持ちになります。
個人的にはお世話になったところから次のところへ行く際に身に着けるものをもらっているのがRPGみたいで面白かったです。
ぐりぐり動くアクションシーンが見ごたえがある
ダイジンを捕まえるために、かなりの頻度でチェイスアクションをしています。登場人物のすぐ後ろからカメラを当てるカメラワークをしているため、まるで自分が追っているような迫力があります。
他にも動く観覧車の上で扉を閉めたり、ジェットコースターのコースからジャンプするなど動きだけでなくシチュエーションもすごいです。
何も考えずに見ても面白い、深く考えながら見ても面白い
上で書いたように日常のやり取りやアクションシーンが楽しいので、何も考えずに見ても面白いです。ストーリーもシンプルなものになっているので難しいことを考えずに見ても十二分に楽しめます。
一方で深読みするような素材がひっそりと映像や音声に差し込まれているので深読みをするとちょっと視点が変わって面白いです。
方言女子がかわいかった
九州の学生が出てきたり、その後も日本中を旅するのでそこに住んでいる人は方言を話します。特に序盤の九州の女子学生の話し方がすごくかわいかったです。
HPに名前もないモブなのにあそこまで存在感がばっちりなのはびっくりです。
芹澤が視聴者の代弁者+シリアスクラッシャーになって暗くなるのを防いでいた
物語の中盤以降、草太の友人の芹澤が一緒に行動することになりますが、物語の中盤なのでシリアスなシーンも増えていきます。そのシリアスな空気に対して「この親子闇が深い(*_*)」とか、喧嘩している鈴芽や叔母の環に話しかけて深刻な空気を換えようと頑張った結果、無視されて「誰も返事してくれない(´・ω・`)」みたい言ってちょっとしたギャグの空気になって話が暗くなりすぎずに見ることが出来ました。
悪いところ
細かく見ると矛盾点がある
普通に見ていると気にならないですが、考察をしながら見ていると矛盾点が色々と出てきます。鈴芽と草太が話の中心なので、それ以外の描画を省いているからかもしれませんが設定の描画不足が気になりました。
ダイジンの行動原理が分かり難い
ネタバレになるので詳しくは書けないですが、ダイジンの行動原理が分かり難いです。中盤までダイジンの行動を悪として描かれていましたが、終盤で真の理由が判明して実は善の行動をしていたとなっていました。ですが、ダイジンが話している内容がとても善の行動から出たとは考えにくくて行動原理が分かり難いです。
おすすめの見方
何も考えずに見る
何も考えずに見ても十分面白いので、何も考えずに見るのもお勧めです。
カギに注目して見てみる
カギを閉めることが今作では重要になっているからか、鈴芽がリアルでカギを閉めるシーンについてみてみると面白い発見があるかもしれないです。
扉から出てくる災いの正体を考察する
扉から出てくる災いについては、作中で名前と出てきた結果どうなるかが説明されますが何者なのかはぼかされています。その正体を考えながら見ることで災いを封じ込める話から正反対の話に代わります。
正体を考察する材料は作中に描画されているのかなと思いました。祝詞、草太の資料、扉が開ききった後の災いの変化後の姿、草太の祖父のセリフ、最後の草太のセリフからふんわりと考察はできました。
タイアップ企業を探す
HPやCMなどを見ると、かなりの企業がタイアップしています。その企業のロゴや店が自然に描画されているのでウォーリーを探せのような楽しみ方もできます。
事前知識なしで見に行ったのでマクドナルドとau以外の企業を見つけることが出来ませんでした。事前にHPを見てから言ったらもっと見つけられて楽しかったと思いました。
感想
正直なところ「天気の子」とか「君の名は」は普通と言う感想だったので、今回も有名な作品だから見に行きました。ところがいざ見てみると、予想をはるかに上回って面白かったです。
序盤の鈴芽はひたすら状況に流されて翻弄されているだけでしたが、後半の鈴芽は逆に自身の行動で周りを振り回すぐらい強くなって成長が見えて面白かったです。
扉から出てくる災いと地震を紐づけたところや、それを扉を閉めることで防ぐなど身近な物に対してメッセージ性が強かったり考察の余地があって感心しました。
入場者プレゼントにも、書いていた通りに震災と言う重いテーマを抱えながらも他の作品に比べて楽しめたのでまさしく作り手の思い通りの感想を抱いたんだと驚きました。