Vivyの最終回を見て、逆の結論を出したアニメ映画の楽園追放を思い出して見た感想です。
Vivyでは、「AIを新たな人類として定義して、人類(AI)を幸せにする」ことを悪として描いていましたが、楽園追放では「AIを新たな人類として定義して、人類(AI)を外宇宙探索へと送り出す」ことを善として描いています。
手段や環境の違いもありますが、物語によって正反対の結論を出していながらも根本のAIの在り方としては使命を全うするところが同じなのがとても面白いところです。
楽園追放とは?
どんな映画?
2014年に上映されたフル3DCGで描かれた映画です。3DCGのような硬さはなくセル画と3DCGの良いとこ取りした映画で、3DCGのおかげで古臭い印象がないです。
主人公のアンジェラとディンゴの相棒もので、破天荒で自由なディンゴと地上の知識の乏しいエリート志向のアンジェラの正反対のやり取りが楽しく、アンジェラの成長が面白い作品です。
ストーリー
地球は廃墟と化して、大半の人類は知能だけの電脳世界に生きている世界。電脳世界では、地上からのハッキングに悩まされており、捜査官アンジェラは地上調査員ディンゴと共に地上にいるハッカーを探すというのが話になります。
面白いところ
地上やディンゴに振り回されるアンジェラ
ディンゴの言うことは真っ当なのですが、説明をしないで動き出すのでアンジェラは一々突っ込みや文句を言います。アンジェラが乗ってきたロボットがディンゴの手で壊されて売りに出されたシーンでは、ロボットものが始まったと思った瞬間にロボットが売られたので笑っちゃいました。さらにアンジェラそのものがかわいいので見ていて楽しい気分になります。
こんなにカッコよく活躍したロボットが次のシーンではドヤ顔をしているアンジェラの前でディンゴに制御装置を壊されてリサイクルショップに売られました。アンジェラのこの表情は気の毒だけど笑いました。
アンジェラの成長
アンジェラは肉体の制約や地上のことを何も知りません。電脳世界では病気や睡眠が不要なので、地上でも睡眠をとらずに犯人を追い続けます。そのせいで病気になったり、地上の良さを体感したりして成長していきます。
丁寧なストーリー展開と説明に飽きさせない映像
ディンゴが有能でアンジェラが地上には不慣れということなので、ディンゴがアンジェラに色々説明してくれます。その説明のおかげて見ている人に対しても状態が丁寧にわかるようになります。さらに、説明中はディンゴに振り回せるアンジェラの様子を写したりフロンティアセッターのリアクションを移すなど退屈にならないような映像が流れているので説明ばかりという印象もありません。
ディンゴが推理したハッキングの動機を説明する真面目なパートですが、映像は調味料を入れたうどんの美味しさに驚いているアンジェラなのでつまらない説明を聞いている気持ちにはなりません。
派手なロボットバトル
ロボットバトルの回数は多くありませんが、スパロボに採用されるだけあって派手でカッコいいです。さらに、コクピットの中の様子を映して戦闘中のキャラの表情を見せたり、コクピット内がカッコいいです。
ロボットそのものの動きもカッコよくて、銃撃戦から近距離戦もものすごく動きます。3DCGの利点を最大限生かして動き回ります。
感想
ストーリーもキャラもとても好きな映画でした。電脳化した人と自我を獲得したAIのような境目があいまいな2人を対比させることでAIとは何かを問いかけていて面白いです。
さらに、死や病を克服した電脳化した世界でメモリの枯渇におびえて昇進争いに必死な状態を「楽園で奴隷のように働く」というのも皮肉で良いなと思いました。
アンジェラとディンゴの二人だとよりカッコよさやかわいさが強調されるので見ていてとても惹きつけられました。
バトルもレーザーやサーベル・ミサイルのように多くの武装をロボットが操作したり、重機やロケットランチャー・地雷などを使って何でもありの戦いが多くて見ていて楽しいです。
最後にディンゴがAIに言う「歌を歌って、仁義を通して、星空に夢を見たあんたなら、もう人類で良いんじゃないか?」という台詞はこの映画の言いたいことの全てだと感じました。
ちなみに期間限定でYouTubeで公開されていました。その時のリンクは下の記事に書いています。
他にもplanetarianとかBLACK FOXもロボットと人の関係を描いているアニメ映画でおすすめです。詳しい説明は下の記事にあります。